サンプル~壊れた教室~

「そのハンカチに水を付けて怪我したと

ころに巻いてって話。分かった?」

 へぇ。

「・・・って駄目駄目!ハンカチ汚れ

ちゃう!」

 そう言ってハンカチと水の入ったギヤ

マンを返そうとする。

 神威君はまるで馬鹿らしいといった顔

で、奪い取った。

「分かった。じゃあ勝手にやるよ?」

 そう言って、半ば呆れたように私の

前でかがみこむ。

 私は慌てて足を引っ込めようとしたが、

もう遅い。気付けば神威君が掴んでいて、

ただ治療してもらうのをボーッっと見て

いることしかできなかった。

 そして何十秒かたった。

「はい」

 傷のあったところは綺麗にハンカチで

巻かれていて、ほんの少し水が傷口に染

みる。

「ありがとう・・・・・」