「わ、私は違うよ!し、信じて!綺月、

みんなを説得させて!誰も信じてくれな

いの!綺月だけだよ信じてくれるの。だ

から、ね?お、お願い・・・・!」

 そう言いながら、必死に懇願してくる。

 私は、胸の裏にある真っ黒い思いが、

暴れだしそうなのを必死に抑えた。

「い、痛いっ・・・!」

 答えをためらっているとふともものあ

たりに鈍い痛みを感じ、キュッと目を細

めた。

 何だろうと見てみると、唯架が泣きな

がら浮かべた笑みをたたえながら私のも

もを爪を立てながら掴んでいた。

 唯架は普段からろくにリップを塗って

ない、荒れてカサカサになった唇の間か

ら血がにじんでることに気付いてない。

「ねぇねぇ、お願い!みんなを説得させ

て・・・」

 ギリギリと、ふとももからふくらはぎ

にひっかくように爪を立てた。

 そこにレオナが私を責めるように言った。

「綺月、友達の亜梨朱を疑うの?じゃあ

亜梨朱が内通者かもしれないってこと?」

 え・・・・・・・?

 亜梨朱が内通者?そんなわけない。

 私は何にも言えず、うろたえた。

「綺月ィィィィィィィ!!!」