サンプル~壊れた教室~

 まずサンプル達のいる第三校舎に足の

速い人ができるだけひきつける。

 体育館へ向かって、サンプルを閉じ込

めた後、裏の扉から抜けてカギを外側か

ら閉めるというもの。

「これなら・・・・」

「うん・・・。サンプルさえなんとかで

きればいいし・・・」

 みんなちらほらと賛成意見が上がる。

 決定となると、疲れていたみんなの顔

に、一筋の希望が芽生えたみたいに見え

た。

「すごいね、亜梨朱」

「え?何が?」

 私が淡々と褒めると、亜梨朱が何のこ

とか分からないと言った顔で尋ねてくる。

 私は亜梨朱が少し鈍感だということを

知って、クスリと笑った。本当におかし

かったから。