サンプル~壊れた教室~

 智夏は首を後ろに傾け、自分の体にナ

イフを突き立てた相手を視界にとらえた。

 神威君だと分かり、キュッと顔を歪め

た。

 きっと好きだったから。

 千夏は神威君のことが好きだって、風

の噂で聞いたことがあった。それは本当

なのだろう。

「うぐ・・・ガァッ、うう・・・」

 苦しそうにもがく智夏を、ぼうぜんと

見るしかできない。

 そして。

「ぐおおおおおおおおっ!!!」

 ケモノみたいなおたけびをあげて、ガ

クンと膝から崩れ落ちた。

 音を立てて倒れた体の胸元に、血が見

る見るうちにたまっていく。