◇◇◇◇◇◇

「おい、いつまで寝てんだよ。起きろ」

「いっ……」

眉間にカツン!と固い物が当たり、私は眉を寄せるとうっすらと眼を開けた。

見ると、至近距離からこちらを覗き込む建御雷神(たけみかづちのかみ)が、剣の柄を再び私の額に打ち付けようとしているところだった。

「ミカヅチのバカッ!!死ねっ!」

「痛っ!!」

私は構わず、ミカヅチの顔面に再びビンタをしてやろうと右手を振り上げた。

しかしあっけなくその手首を掴まれ、私はミカヅチを睨み上げた。

「なんだよ、キレてんじゃねえよ」

ミカヅチの背景は見慣れた空間で、私はすぐに現在に戻ってきたことを理解した。

「さすがは白鷺だぜ」

ミカヅチの手には私が持ち帰った剣が握られていて、

「でかしたな、柚菜」

なにが、『でかしたな』だ。

私はムカつきながらも、白鷺が作ってくれた剣をマジマジと見つめた。

あの時は部屋が暗かったし別れが悲しかったしで、まだじっくり見ていなかったのだ。

これって……!

明らかに鋳造じゃない。

この剣は……鍛練してある。

けど日本刀みたいに反りはなく、片刃じゃない。

剣の製法に多い鋳造品じゃなく、日本刀と同じような作り方だと思われるのに、直刀で、反りがなく両刃。