白鷺一翔が私に刃を向け飛んでくる僅かその前に、私は雅さんに斬りかかった。

「白鷺と白鷺一翔を返してもらうわ」

「ぐわあっ!」

「っ!!」

雅さんが苦しそうに悲鳴を上げるのと、私の頬を白鷺一翔がかすったのが同時だった。

「くそっ!!」

どうやら床に転がって落ちた白鷺一翔を、意のままに操れなくなったみたいで、雅さんは私を真正面から睨み据えた。

「役に立たぬ刀め」

「白鷺一翔から出ていって!!そして白鷺を自由にして!」

「死ね!」

雅さんが私に飛びかかってきた。

手にあの時の懐剣を握り締めて。

「きゃあああっ!」

「ぐあああ!」

激烈な痛みが胸に走って、私は眼を見開いた。

ああ、刺された。

「柚菜!」

「柚菜さん!」

ガクッと膝をついたその時、戸口からこちらに走り寄る宗太郎と慈慶さんが見えた。

慈慶さんは、素早く部屋を見回すと数珠を片手にお経を唱え始めた。

ああ私、刺されちゃった。

雅さんの生き霊に勝てなかった。

……いや、まだ諦めない。