◇◇◇◇◇◇◇

翌日。

白鷺の普段とまるで変わらない様子とは対照的に、私はソワソワと落ち着きがなかった。

白鷺が生き霊の正体を知ってるって……。

生き霊は誰?白鷺はどうしてなにもしないの?

胸の中がモヤモヤして、朝御飯なんて喉を通らない。

するとお箸を手にして視線をさ迷わせる私を不審に思ったのか、白鷺が食事をする手を止め、涼やかな眼でこちらを見つめた。

「どうした?具合でも悪いのか」

その声にギクリとして私は思わずガチャンと器を鳴らしてしまい、焦って口を開いた。

「……別に。少し気分が悪いだけ。
……ご馳走さま」

独りになってゆっくり考えたくて、私は器を持って立ち上がると部屋から出た。

…誰なんだろう、生き霊は。

私は家から数メートル先の小さな川の前にしゃがむと、水面を見つめながら考え込んだ。

好きになった欲目を差し引いても、白鷺はとてもかっこいい。

顔も整っているし、スタイルだっていい。

いつか二人で町へ行った時だって、何人もの女性が眼をハートにして白鷺を見ていたもの。

……過去に付き合っていた人だろうか。

それとも、通りすがりに一目惚れした女性?

一体、生き霊になっているのは誰なの?!

知りたい。

けど、知るには白鷺に直接訊かなきゃならない。