白鷺の剣~ハクロノツルギ~

ダメだ、メチャクチャ機嫌が悪い。

どうしたものかと焦っていると、白鷺が低い声で言った。

「いつも機嫌が悪くて悪かったな」

げっ。

聞いてたんだ。

まだ昼間だったから戸口を開けっぱなしにしていたし、私はそっちを背にしていたから気付かなかった。

「お前の前でいつも俺は怒っていると思ってるのか」

……なんだこの質問は。

「現に今も怒ってるじゃん」

私がそう言った途端、白鷺が私を地面に下ろした。

腕を掴まれて至近距離から見下ろされ、私はゴクリと喉をならした。

涼やかな眼が私を捉えていて、形のよい唇はしっかりと引き結ばれていた。

「…………」

「…………」

ドキドキする。

怒ってる白鷺を前にして、不謹慎かもしれないけど。

白鷺は私を見つめて何も言わないから、私も何も言わなかった。

……本当なんだろうか。

あの女の人……雅さんと白鷺は、本当に恋人同士じゃないの?

……聞きたい。

だけど、怖い。

聞いたら答えてくれるのだろうか。

でも、私はあの日、現代に帰る直前白鷺に告げた。