白鷺の剣~ハクロノツルギ~

言い終わると私は白鷺に背を向けて土間に降り、外へと出た。

それから空に登りかけた太陽を見上げる。

私に何が出来るか分からない。

でも、負けない。

白鷺が好きだから。

私は砂利道を走って戻ってくる宗太郎を見つけると、笑顔で彼に駆け寄った。

◇◇◇◇◇◇



「刀に宿るのは、斬られた本人やその近親者の怨念でしょう」

私は静かにそう言った若い僧侶……慈慶(じけい)さんを見つめた。

宗太郎に薬を塗ってもらった後、私はお寺を探すために町へと出掛け、道の隅でお経を唱えていた慈慶さんをみつけて声をかけたのだ。

お坊さんなら、そういう事に詳しそうだと思って。

慈慶さんは、ご相談に乗ってくださいませんかと声をかけた私に優しく頷いて、

「話してみてください。すぐ近くに私の寺がありますからどうぞ」

と快く話を聞いてくださったのだ。

私は昨夜起きた現象を、慈慶さんに詳しく話した。

「これがその懐剣です」

着物の袖から懐剣を取り出して見せると、慈慶さんはそれを凝視し、数珠を握り締めた。

「これは……」

「姿は見えませんでしたが、この懐剣が私めがけて飛んできたんです」

「声はきこえたんですよね?」

慈慶さんの問いに私は頷いた。