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その夜、息苦しさに私は目覚めた。

何故か胸の辺りが重く苦しい。

眼を開けたいのに瞼が重くて、私は無意識に眉を寄せた。

《……ユルセナイ……》

《オレハ……キラレタノカ?》

《イヤヨ、イヤ!アノヒトヲカエシテ!》

《アルコウトシタラ、アシガナクナッテタンダ》

《オノレ、ノロッテヤル》

部屋中で無数の声がする。
 
どの声も大きくはないけど、怒りや深い悲しみに包まれているように震えている。

やだ、なに?!

私はようやく重い瞼を上げた。

なんだか部屋が青白い。

この光なら、前にも……見た。

そう、白鷺一翔から放たれた光と同じだ。

何度か瞬きすると、部屋に何かが漂っているのがわかる。

火の玉……実際に見たことはないけど、 敢えて表現するならそういう感じだった。

どうしよう、こわい。

私は両隣で眠っている白鷺と宗太郎に声をかけようとして、仰向けのまま左右を見た。

右側の宗太郎は、静かな寝息をたてている。

一方左側の白鷺は眠ってはいるものの、その表情は険しい。

「……白鷺、白鷺」

白鷺はまるで気づかない。