白鷺の剣~ハクロノツルギ~

「…………」

返事はなかったけれど私は続けた。

「昨日は……助けてくれてありがとう」

あの時、以蔵さんがあのツツジの間に来てくれなかったら私はどうなっていたか分からない。

押し倒されて着物の合わせ目を左右に開かれた時はゾッとした。

「…………」

以蔵さんは何も言わなかったけど、私を握る手に少し力を込めた。

だから私はそれが以蔵さんの返事だと納得することにした。