白鷺の剣~ハクロノツルギ~

◇◇◇◇◇◇

以蔵さんはものも言わずに私が作った朝食を食べた。

何故か鰹節だけがかまどの近くに放置されていたから、それを石で削いで出汁をとり、澄まし汁にしたんだけど、以蔵さんはそれを私の分まで飲んだ。

頂きますも御馳走様も言ってもらえなかったけど、残されるよりはマシだと思った。

「……ここは、誰の家ですか?食器もちゃんとあるし、とてもじゃないけど以蔵さんの家とは思えない」

私が部屋の中を見回しながらそう言うと、朝食を食べ終えた以蔵さんは素っ気なく答えた。

「誰の家か知らん。隣の爺さん曰く二日は帰ってないらしい」

なんですって?!

「それって、犯罪……」

「柚菜、こっち来い」

「……なに?」

「膝、貸せ」

半歩ほどの距離を膝で歩いて近付くと、以蔵さんは私を座らせて膝に頭をのせた。

「あの、以蔵さん……」

「……」

囁くようにそう言うと、以蔵さんは私の手をギュッと握った。

え……これって、なんで……?

ソッと顔を覗き込むと、以蔵さんは整った顔を私の膝に乗せて眼を閉じていた。

……もしかしたら、ずっと疲れていたのかも。

だから熱が出ちゃったのかもしれない。

「あの……以蔵さん」