白鷺の剣~ハクロノツルギ~

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

ん……?

……なんか、風が顔にかかる。

誰かに頭を撫でられてるし。

そうかと思えばギュッと抱き締められるように身体が圧迫されて、私はうっすらと眼を開けた。

は?

あっ!!

「い、以蔵さんっ、大丈夫?!」

私の掠れた声に、以蔵さんがゆっくりと私を離した。

途端に、至近距離に以蔵さんの整った顔が現れ、私は息を飲んで彼を見つめた。

それから恐る恐る声をかける。

「……以蔵さん、あの……熱は?」

私は以蔵さんの額に手を置くと、ホッと息をついた。

「……下がってる。良かった!昨夜、ひどい高熱で」

「ふせった俺を脱がせて同じ布団に潜り込むとは……」

私の声を遮って以蔵さんはニヤリと笑うと、布団を片手で少し上げ、中を覗き込んだ。

ハッとして、思わず布団を握りしめる。

「ちょっ、見ないでっ」

「もう見た」

「やだ、先に起きたならなんで着物着ないの?!」

私が焦ってそう言うと、以蔵さんは更にニヤッと笑った。

「お前が俺に抱き付いてるから、身動きが取れなかった」

……嘘だ、嘘に決まってる。

あの日、凄い力で私を白鷺の家の壁に押し付けたクセに。

私はニヤニヤ笑う以蔵さんの胸に腕を突っ張って距離を取ると、早口で言った。

「とにかく、病み上がりなんだからまだ寝てて」

言いながら意を決して起き上がると、布団の上の着物を掴んだ。

「こっち見ないでよね」

「フッ……!何を今更……」

言葉の途中で以蔵さんが口をつぐんだ。

着物を着終わり振り返ると、息を飲んで私を見つめている以蔵さんが眼に留まった。