ここ……何処……?

やけに暑い。

そしてキィンと耳から全身に広がって駆け抜けていく金属音。

泥のように身体が重くて、ジワジワと全身が沈んでいくような感じ。

いやだ、怖い。

誰か助けて。

私は重い腕を必死で上げた。

目の前は薄暗くて何も掴めるものがない。

けれど、沈むと二度と上がってくることが出来ない予感がするのだ。

「た……助け、て」

掠れた声に威力なんてないけど言わずにはいられなくて。

ああ、もうダメ。

力無く腕が下がりそうになったその時、

「しっかりしてください」

低くて心地好い声がして、誰かが私の手を掴んだ。

「拓也……?」

ううん、声や話し方で拓也じゃないって分かってた。 

けれど、けれど、私は呼ばずにはいられなかった。

それは願望。

だってまだ拓也を愛しているから。