写真撮られたらまずい気がする。
今のところ、そんな気配は無いみたいだけど。
撮られる前に移動した方がいいよね。
「とりあえず、皆で順番に見て回ろう?」
「そうだな。じゃあ行くか。千代、千代は俺達の間にいろ。迷子になったら困るからな」
そう言って、さり気なく人混みから私を庇うように前を歩いてるれる流くん。
りんご飴に綿菓子、イカ焼きに焼きそば、たこ焼き……
どれも定番で美味しそう。
そこらじゅうから美味しそうな匂いが漂ってくる。
「あ、イカ焼き見っけ!俺買ってくる!」
一目散に飛び出していった圭くん。
「千代、お前も何か食べたいものとかあったら遠慮なく言えよ?」
「うん。あ、ならアレ食べたいな」
黄色くて冷たいもの。
冷えたパイナップルだ。
暑い夜には冷えたものがよくしみる。
「良し分かった。買ってくる。すぐ戻るから、お前らはこの通りを歩いてろよ」
「え、でもお金……」
「いいって。そんな高いもんじゃないしな」
少しして、圭くんも隼人くんも戻ってきた。
「はいよ」
「ありがとう隼人くん。あれ、4本?」
「じゃんけんで勝つともう1本貰えるんだよ。んで、2回やって2回とも買ったってわけ」
「じゃんけん強いんだね……」
今頃、屋台の人は泣いてるに違いない。
「運が良かったんだよ。てことで、誰かいるか?」
「僕食べたい!」
「俺は遠慮する」
「なら、俺が貰おうかな」
隼人くんからもらったパイナップルを、美味しそうに食べる2人。