ソファで横になると、あっという間に寝てしまった。
私は、その隣でそっと台本を読み続けた。
「好き。友達以上になりたいの。そう思ったのは貴方だけなの、かぁ」
台詞を口にしてみるけど、なんだかしっくりこなかった。
私にそういう経験がないからだろうか。
台本と睨めっこしながからも、自問自答を繰り返した。
私は、悠太のことが好き?
うん、好き……なんだよね?
ついこの間の夏祭りの夜、私は少し悠太に恋愛感情を抱いているんだと思った。
その時だけなのかは、はっきりと分からないけれど。
そう、あれは紛れもない好きの気持ち……な、はず。
ちらりと横目で悠太を見るけれど、台本で顔が隠れている。
台本を退けると、綺麗な顔が見える。
「………」
艶やかな唇に、息を飲んだ。
い、いけない
何見とれてるの
とは思いつつも、もっと見ていたいという気持ちも大きかった。
自分でも少し変な気持ちで、まるで心がお酒でも飲んだみたいに気持ちが酔ってる。
「練習していいかな」
寝ているなら、台詞を言っても聞かれないよね。
そう思って台本の台詞を、寝ている悠太に向かって言った。
「好き」
心臓が破裂しそうで、もうどうにかなってしまいそうだ。
これは台詞……そう、あくまで台詞なのだ。
美琴が言う大切な言葉だ。
「……友達以上になりたいの。そう思ったのは貴方だけなの」
幼馴染以上の関係?
悠太はそれを望んでる?
「……夕飯の支度しなくちゃ」
私は考えるのをやめて、その場を離れた。
「っ……なんだよ、もう……」


