「俺もさ、親孝行、したことないまま、ここまで生きてるよ。
俺は親が好きじゃないから、今でも、親孝行しようなんて考えたことない。

もう何年も会ってないし、これから先も会いたいとも思わない。


こんなやつもいるんだ。
お前が母親に会えなくても、
その気持ちがあるだけでお母さんは喜んでると思うよ。」





どうして先生は、そんなに私に優しく言ってくれるんだろう。



先生の言葉ひとつで、心が少し軽くなった気がした。







そういえば……先生から、
ご両親の話を初めて聞いた。




いつか、先生の話ももっと聞きたい。






「…意外に手こずった。
もういいよ」



はい、と綺麗なネックレスを渡してくれた。