私に彼氏が出来たって本当…?

まだ夢みたいで…信じられない。





「水野。お待たせ」


夏休みの部活帰り、プールの入り口で待っていると着替えを済ませた蒼井くんが駆け寄って来る。




「何か食べてく?喉乾いたし」

「うん!」


私と蒼井くんは並んで歩きながら、ゆっくりと学校の外へと向かう。



夢じゃないんだ!

私…蒼井くんの彼女になれたんだ!!


そう思うだけでにやけそうになり、胸が締め付けられてくぅぅと頭を抱えてなんとか平然を保つ。最近はこれの繰り返し。





「頭でも痛いの?」

「え…」


学校近くのコンビニで飲み物と軽食を買った私達は、近くの防波堤に座り込み海を眺めていた。

彼氏が出来たことが嬉し過ぎることを隠そうと頭を抱えていたら、蒼井くんに心配そうにのぞき込まれる。





「ち、違う違う!なんでもないのっ」


全力で否定した後、恥ずかしさを隠すようにコンビニで買ったパックのいちごオレを飲む私。






「夏休みももうすぐ半分まで来ちゃうな。あっという間だよ」

「そうだね」


そうなのだ。

もう夏休みも半分過ぎようとしていて、ついこの間全国大会も終わったところだった。


リレーの結果は準優勝。

個人種目では健くんが平泳ぎで3位。

そして蒼井くんのクロールは、今年も陸と同着で2位という結果に…


今年も陸の学校と大会で会うことは予想していたけど、まさかまた同着とは思いもしなかった。

おかげで蒼井くんと陸は他校からも注目され、水泳関係者達も2人をライバルだと見ているようだ。

部長にとっては最後の大会で「楽しい部活だった」と私達にお礼を言っていた。

練習には卒業するまで出席するらしいが、高校生としての大会への出場は終わってしまった部長。