私は自販機で飲み物を2つ買い凪に渡すと、とりあえず凪が話してくれるのを待つことにした。


凪のこんな姿初めて見た…いつも元気でニコニコしてるタイプなのに…

親と喧嘩でもしたのかな。





「美海ごめん…」

「え？」


しばらくすると凪が力ない声で口を開く。



「ごめんね……」

「何が？」


凪は目に涙を浮かべながら私から顔をそむけると、そっとつぶやいた。











「…紡に告白した」




驚いて言葉が出なかった。

「え？」って一言さえも出なかった。それくらいびっくりした。



蒼井くんに告白…？

本当に？





「…今日バレンタインでしょ？明日まで待ちきれなくてさっき紡の家に行って渡してきたの…それで勢いで言っちゃった…」

「凪…」

「見事にフラれたけどね。あいつ…今は誰とも付き合う気ないんだって。恋愛とか付き合うとか面倒くさいって言ってた」


それを聞いた私の胸は何故かズキッと傷んだ。

それって…蒼井くんは今誰にも恋してないし付き合う気もないってこと。ということは…


私も失恋した…？





「美海ももし告白とか考えてるならやめておいた方がいいよ。傷つきたくないでしょ」


凪の言っていることは分かる。

だけど…このままただ好きでい続けることって思っている以上に辛いんじゃないのかな。

でも…蒼井くんと両思いになれる見込みがないからって、片思いを辞めるのはおかしいし…



私はそれから凪と別れ真っ直ぐに家に帰った。そして自分の部屋のベッドにうつ伏せに寝転がり、蒼井くんの事を考えていた。


どう考えても…何度も考え直しても…結局蒼井くんのことが好きとしか考えられない。



好きんだもん…

しょうがないよ…



でも蒼井くんが恋愛を面倒くさいと思っているのなら、私も行動を控えないといけないのかも…

あんまりアタックしてうざいとか思われて嫌われたくないし…それだけは絶対に避けたいから。

さり気なく蒼井くんを好きでいよう。それが一番だよね…