2人共嬉しそう。あんなふうに自然に渡せるなんてすごいな…





「はい。あんたはこれね」


次に凪は健くんに紙袋を渡す。ガサゴソと中を開けると中身はお菓子。




「昔からそれ好きでしょ」

「ん。ありがと」


健くんは早速袋を開けるとそのお菓子を食べていた。そんな姿を見て凪は嬉しそうに笑う。




「じゃ、じゃあ…私今日は先に帰るねっ」


ぎこちない口調でそう言って立ち上がり、私はカバンを肩にかけた。




「もう?早くない?」

「うん…ちょっとね!じゃあまた明日」


私はみんなに挨拶して走ってスポーツクラブから出ると、急いで家に帰った。



私だってちゃんと蒼井くんにプレゼント用意してる。

ただみんなの前では渡せないだけ…







「ちょっと行ってくるね!」

「どこに?」

「すぐそこ!」


帰ってから2時間後。私は荷物を抱えちょっとおしゃれをして家を出て、蒼井くんの家に向かっていた。

少し時間かかっちゃったけど…蒼井くんもう家にいるかな?






「デカ!」


家から歩いて5分程の所に蒼井くんの自宅があり、いつみても立派な佇まいに驚いてしまう。


二世帯住宅とは聞いていたけど、これは広い土地に2軒家が並んでるって感じ…

家も大きい方だと思ってたけど比じゃないわ…

確かおばあちゃんが地主なんだっけ?この辺じゃお金持ちって有名なんだよね。






ピンポーン…


緊張しながら玄関のベルを鳴らすと、すぐに家から人が出てきた。




「はーい」

「あ、蒼井くんと同じクラスの水野という物ですがっ…」

「あら~水野さんの所の♪」


出てきたのは蒼井くんのお母さん。祖父母同士が仕事仲間ということもあり、私のことも何となく知ってくれているみたいだ。





「よく来たね~ちょっと待ってて~紡呼んでくるから」

「お願いします!」


優しそうなお母さん…蒼井くんに似てるなぁ。