5組の教室のドアが開き、生徒達がぞろぞろ出てきて私はキョロキョロして蒼井くんを探す。





「ぁ…蒼井くん!」


友達に囲まれて教室から出てきた蒼井くんを見つけ、勇気を出して声をかけた。




「水野」


少し驚いたような顔をする蒼井くんは、制服をかっこよく着こなしていて少しドキッとしてしまう。




「どうした?お前から話しかけてくるなんて珍しいな」

「う、うん…そうだね」


友達から離れる蒼井くんはニコッと笑って私に近づいて来る。彼の友達からの視線を感じつつ下を俯きながら声を出す私。




「あの…ちょっと話があって…」

「話?」

「あ!別に忙しかったらいいの!また今度で!!今日もプールでしょ?」


本当は今すぐ聞きたいのに…私のバカ。





「先帰ってて」


蒼井くんは待たせてる友達にそう声をかけた。友達はニヤニヤしてこっちを見ていたが「分かった~」と言って帰って行く。




「いいの?何か約束してたんじゃないの?」

「別にしてないよ。行こ」

「あ…」


先に歩き出す蒼井くんを追って下駄箱に行き靴を履き替えると、自然に一緒に帰る形になってより恥ずかしくなった。



何から話したらいいのかな…

相馬さんの事も言った方がいいの?





「驚いたな」

「え?」


急に笑い始める蒼井くんの顔を覗き込むと、ククク…と思い出したように笑っている。





「まさか廊下でお前が待ってるとは思わなかったから。ちょっとドキッとしちゃった」


そんな事言われるとこっちの方がドキッとしてしまうんですが…