「何笑ってんだよっ」

「ごめんごめん!いやぁ…悩んでる事ってそこだったんだと思ってさ」

「どういう意味だよ…」

「美海ちゃんと土田陸が元々親しい仲だから、どうしてもあいつに勝ちたいって事なんでしょ?」


務の言葉にすぐに言い返す事が出来なかった…

こいつはいつもふざけているように見えるけど、毎回的確な事を言い当てるから怖い。


俺は返事をしなかったが、務は俺の表情を見て俺の答えを理解しているようだった。

そう。

俺は土田の水泳の実力よりも、美海があいつの事が好きだったってことに執着している…





「お前の気持ちはわからなくもないなぁ…」

「そーかよ」


かっこ悪いよな。

こんな所絶対美海には見られたくない…





「でも美海ちゃんはお前を応援してるよ。土田陸ではなくお前を」