「何で俺が土田陸の事知ってるかって顔だな」

「その通り」


真顔で言う俺を見て務はケラケラ笑う。





「お前の大会はこっそり見に行ってるから大抵は知ってるよ」

「は?嘘だろ?」

「市の大会とかは最近行けてないけど全国は毎年行ってるよ。東京だしそれに弟が出るなら当然だろ」


務の発言に言葉も出ない…

まさか身内にこっそり見られていたなんて思ってもみなかった。






「土田陸ね…あいつは手強いな」

「まあ…」


2年連続で同着なんて有り得ないだろ。

一部では俺と土田の事で騒ぎ立ててるけど、そんな事で有名になったってちっとも嬉しくない。

それに…





「土田って…美海の同級生なんだよ。中学が一緒でこっちに引っ越して来る前まで仲良かったらしい」

「…」


仲良かったっていうか…

あいつは土田のこと好きだったんだよな。






「…ぷ」


急に吹き出す務は、そのまま腹を抱えて笑い始める。