「ぁあ...?」

扉が開けられたことによって男達は殺たちを睨む。

そして、すぐに魔法が殺に飛んできた。
すぐさま戦闘モードに入る。

「容易いね...」

殺は呟きながらそれを無に返す。
消滅の呪いを発動したようだ。

「油断はいつだって禁物なのだよ!相棒」

蝶は ニヤッ と不敵に笑いすぐさま魔法を放つ。

((それはこっちの台詞!))

殺と陰は同じことを考えていた。
蝶の後ろを取った男はそのまま殺す勢いで蝶に刃を突きつける。

「...陰縛り(かげしばり)」

陰はその男に黒い影を突き刺し縛り上げる。
物体に刺すのではなく人の影と精神を突き刺す魔法だ。

「ナイス!」

蝶はそのまま男を溺死させる勢いで水魔法を放つ。

放つと同時に後ろにいた男に切りかかっていた。

(...僕の出番はないかな?)

ひとまず様子見をすることにした陽は何もすることなく任務を完遂した。

「お疲れ様です。どうでした?」

建物から出てきた陽たちに楓は言葉を発した。

今回は楓と薬は通信伝達と状況支持のみを担当していたため、建物から少し離れた場所にいた。

薬は囚われていた少女2人の介抱をしていた。
擦り傷などは所々あるが命に別状はない。
至って健康だ。

「ほんと、危なかったよー危うく殺されかけていたもんこの2人。」

今は眠っている少女2人を見て蝶は一息ついた。
この2人は光国から拉致されたらしく光国の服装をしていた。

薄めの服であったため今は毛布をぐるぐる巻きにしている。

「お疲れ様〜」

すると、そこに扇と獄が現れていた。
陽たちは、敬礼をするわけでもなく若干礼をするくらいだった。

まぁこれはいつものことなのでそれはほっといて、扇は2人の顔を確認する。

「...うん、周の情報と一致してる。
千上院 京子と月宮 弓美子だね。」

2人の言葉を聞い陽たち(特に陰)は驚いていた。

月宮...陰と同じ一族の名前。
この世界の月宮一族だ。

恐らくは本家もしくはそれに近い分家なのだろう。
陰の月宮一族は本家の血筋を受け継いでいるがこの通りグリムズにいるため世界では知られていないだろう。

「...初めてみる?月宮の子は」

扇の問いに素直に頷く陰は興味深そうに弓美子を見つめる。

そんな、子供らしい一面を見て苦笑する扇。

「身元が分かってもずくには送ってやれないみたいだな...」

獄が無線機を使ってグリムズにいる凪と連絡をとる。

「どうしようか...」

と、扇は考えるふりをする。
本当は陽たちに決めてもらおうと判断してもらおうと扇はあえて何も言わない。

殺「グリムズに連れていけば?」

陽「けど、そう易々と入れていいもんじゃないよ。」

薬「ただでさえ身元も分かっているんだ。
相手に情報を与えるべきじゃないと思う。」

蝶「記憶操作すれば?この子達の情報を全て調べればいいじゃん?」

楓「全て...なるほど
この子達の私たちに対する気持ちも全て偽りなく調べられたら大丈夫なのでは?」

薬「うん、楓ちょっと黙ろうか」

楓が不吉なことを言い始めたため薬は楓の後ろに回って抱きつく形で楓の口を塞いだ。

意見は様々だった。
グリムズに連れていくことに賛成の殺、蝶、楓
反対の陽と薬

そして、話しに加わらずいまだに寝顔みている陰。

とても、8歳の子供たちの会話とは思えないだろうとこの世界の親達は思うだろう。

陽「......でもこのまま放っておけないしな...」

陽は分からず頭をかく。
そんな様子を見ていた扇はうんうんと頷き少し情報を与えてみる。

「あっそうそう!
この子達はグリムズという組織は知っているようだけど、

敵対しようとは思っていないようだよ。」

扇のこの言葉で陽たちの意見が1つにまとまった。

「「じゃあ、連れていきます」」

決断が速く、扇は二ヒヒと笑った。
予想通りの展開で面白かったのだろう。