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(雷で一気に…か。)
殺は陰と陽の所々黒焦げになった制服を見て息を飲んだ。
扇は今、見たこともないほどの魔力を放っていた。
右手には全土の土土、左手には全雷の雷鳴。
土と雷属性の最高位であり、禁級武器である2つを扇は使いこなしている。
暴走もなければ乗っ取りもない。
扇の意思に命令に完全に従っているのだ。
「どうしたの?そんなに顔色変えて」
クスッと扇は笑うがその笑顔を見た殺は一瞬恐怖にさらされた。
扇はアルテーナ諸国という、魔法と軍事力に長けた国で鬼才と呼ばれた人物である。
化け物と言えるぐらいの人…いや、ひとであるのか?…
殺はこの時そう思った。
「……リタイア」
殺は何も抵抗することなくリタイアした。
それは、化け物を見た恐怖…ということもあるだろうが今回は勝てないと素直に思ったからだろう。
獄1人ならば殺でも相手できるが、そこに扇が加われば話は別だ。
「あら、残念だね。
でも、いい判断ではあるかもねぇ」
扇は ふぅ と一息つくと契約武器を戻しその場に座った。
殺は獄にかけていた呪いを解くと、陰と陽の元に駆け寄った。
未だに目が覚めていない2人だったが、殺の医療魔法(?)の様な魔法を使い目が覚めた。
「…ん……あれ試合はどうなったの?」
陽が先に目を覚めし殺に聞くが、殺は リタイアした とだけ言った。
「まぁ、そうだよね。僕も同じ状況だったらそうしてたよ。
まさか、2つも持ってるなんて」
禁級のそれも各属性で最高位の契約武器を2つ同時に使いこなす扇は一体何者なのか。
だが、驚きはさらに続いた。
殺と陽の会話を聞いた扇は ニヤリ とした。
「ざんねーん。私が持ってる禁級は
前水の水雫 (ぜんすいのすいだ)
全土の土土 (ぜんどのとど)
全雷の雷鳴 (ぜんどのらいめい)
全氷の氷霧 (ぜんひょうのひょうむ)
全火の炎火 (ぜんかのえんか)
だよー。つまり、楓が持ってる全風の風風以外の属性最高位をもってることになるよ。」
ふふん と自慢する扇だが、その言葉で陽たちはフリーズしてしまう。
いくら何でもそこまで強いか…と
扇が言うには、全風の風風も扇が持っていたが風風自身が楓の元に行きたいと言うことで契約を解除したのだ。
系統魔法全ての属性の最高位の契約武器を持っていたことから、全魔の扇 という異名を思っていた。


