陰陽 ~正反対の少女と少年~


『殺!獄さんをお願いてもいい?』

呪いについて詳しかった殺が適任ではないかと殺に問いかけてみた。

『……分かった。やってみるよ』

殺は蝶と一緒に周と対峙していたが獄に向かって走り出した。

「行かせない!
星々の輝く世界へと導きたまえ

アストラル (星の世界)!」

周はそう唱詠する。
すると、フィールドだった場所が急に夜空の星のような場所へと変わった。

「これがアストラル……」

次元空間を開いた者はその空間内だけ空間と空間を行き交う言わば、瞬間移動ができる。

その空間は星のように光輝き、その輝き1つ1つが別の空間へと繋げるゲートのようなものである。

このような理由から 星の世界…アストラル という名がついた。

「あれ1つ1つが空間なの!えげつない」

蝶は周りを見て苦笑いをした。
それは殺も同感だったらしく頷いていた。

『ごめん、しばらくそっちに行けそうにない』

殺は陽にそう言った。
だが、すぐにこの空間から出るつもりだった。

「それじゃあ、やりますか?殺さんよ」

蝶が獰猛に笑った。
完全に楽しんでいる顔だ。

蝶は闘い好き(戦争は入らず試合や組み手など)であり、特に殺と組んでの対戦が好きなのだ。

「また、興奮してやり過ぎないでね」

ため息をつきながら構える殺を見て蝶は承諾したととった。

〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜※〜

(殺がいない状況で獄さんを倒すことはできないよね…正直)

そもそも戦闘の経験や経歴が違いすぎる。
2対1ならば勝てる見込みはあるが1対1はかなり難しい。

それほど自分が優れていると思っていない。

(どうするか……)

陽は思考をフル回転しながら獄と対峙する。

「1つ良い事を教えてやる」

考えていることを知っている獄はちょっとしたヒントを与えた。

「呪いには大きく分けて2つに別れる。
1つ、呪いしか使えないプラスマジック
2つ、呪い以外に魔法も使えるノーマジックだ。」

そこで陽は確信した獄はプラスマジックだと。

なぜなら後に見えるのだ呪いの闇色と違う紅の炎と同じ色が。

「もっと厄介になったな……」

陽は くっ と歯を噛む。
どうしようもないのだ、陰は扇で低一杯、殺と蝶は別空間。

リタイアするか…と一瞬考えた。

「……ダメだよ陽…」

逃がさないと大きな影の腕で扇を捕まえ続ける陰は大きな声でいった。

今までで1番大きな声だった。
それを聞いた陽は そうだな と弱い自分に言い聞かせた。

これが生死に関わる戦いだとリタイアなんて言葉はないのだから。

「おっ気持ちが変わったな」

陽の瞳を見た獄は薄く笑う。
そして、呪いを仕掛ける。

「破壊の呪い……パリダ」

「ファイアボール!」

陽は自分と獄の間を隔てるように下級魔法の火の玉が現れる。

そのうちの陽の足辺りの前にあったファイアボールが破壊される。

「なっ……やるな」

獄は苦笑いだったが楽しさが込上がっているのが分かる。