「そうね、私は全員に体術と武器。」

扇は顎に手をあてながら言い出した。

「周は薬と蝶に、獄は殺と陽に、凪は陰と楓に魔法を教えてーかなー。」

それぞれの役割分担をさくさく決めていく扇。
だが、怖い笑みで言う。

「ここから地獄だと思ってねー!」

そして、やけに楽しそうな笑みをこぼすものだから背筋がゾッとする。

「「「「はい!」」」」

陽たちは覚悟を決めて返事をする。

(これからどうなるんだろ……)

陰は内心、精神的にたえられるか心配になってきた。

「それじゃあ、最初は小手調べに試合をしようかな」

扇が言った瞬間、陰たちは固まった。

「えっ……試合って……」

陽は まさか と言った様子で聞き返す。

「もちろん、私たちと君たちとだよ」

扇はニコニコしながら指差す。
獄や周も表情は笑顔だ。

「今から30分後、場所は演習場ねー」

と言って、扇たちは部屋を出ていった。

「いきなり試合だなんて……大丈夫かな?」

不安を口にする陽に全員が頷く。
試合という試合を経験したことのない陰たちにとって、今回が初めての試合ということになる。

「……いつも通りにすれば…いい……」

陰は小声で言った。
それを陽が皆に聞こえるように言った。

「まぁそれしかないよね」

殺は少々諦めぎみに頷いた。
扇たちの実力は耳にしたことはあるが実際に見たことはない。

相手も陰達がどの様な魔法を得意とし、どのくらい実力があるかは知らない。

この試合でそれを見せるわけだが……

「それじゃあ、殺と僕が前衛、蝶と楓が中衛、薬と陰が後衛でどうかな?」

陽が提案すると疑問を持っていない陰たちは頷いた。

「よし!じゃあがんばろ~!」

蝶が言うと、陰たちは おー と拳を挙げた。