「それより、座り込んだりしてどうしたの?」
少年は あっ! と思い出したことを少女にきく。
「迷子…カイアに戻れなくなった」
少女は最低限のことだけをいい、それ以上はしゃべらない。
そこで少年は少女の服の袖に刺繍されている二本の線を見る。
紫色の長袖のシャツの袖に青色の線が刺繍されている。
サーイン地区から刺繍の線が増えていく。
カイア地区は刺繍の線は二本。
そのため、この少女がカイア地区に住んでいる証拠となる。
つまり嘘はついていない。
「そっかーここはサーインの西側だから、カイアに行くのに結構時間がないと帰れないよ?」
「……そんな」
もう、夕日が山に差し掛かっていた。
少女が迷子になったのは昼間あたり、その時迷子になっていなければ今ごろ家についている頃だ。
「んー…そうだ!僕の家に来る?今から行くと夜遅くなっちゃうし。1日ぐらいは大丈夫だよ!」
そう言う少年を見ながら少女は驚く。
「えっ……でも。迷惑になる。」
「大丈夫だよ!ほら!行こう!」
そう言って、少女に手を差し伸べる。
クーイ国は冬の国だ。今は夏で涼しいが、夜は少しばかり冷える。
少女は迷った。
しかしそんな夜をここで過ごすよりはましだと思い、遠慮がちに手をだす。
すると、少女の手を勢いよく引っ張り走り出す。
「っえ!…ちょ……!」
いきなり走り出すものだから、少女はびっくりしながら、少年に手を引かれる。
少年の後ろ姿に丁度夕日が差し込んでくる。
少年がとても眩しかった。


