楓が召喚した武器は、扇子であった。
扇面は地(下)は緑色で天(上)に向かって青緑色になっていく。
そして、要部分から飾りのように紐が垂れておりその先には鈴がついていた。
とても武器とは程遠い気もする。
「世界に吹く風の祖よ、温度を変化せし、
風向きをも変えるすべての風をここに
全風の風風 (かざかぜ) 」
楓が召喚した全風の風風は全ての風を操る禁級の武器であり、能力シリーズである。
「風の祖ともいえる存在の武器ですね。楓にお似合いです。」
「ありがとうございます。」
レイリはニッコリと笑顔なので楓もつられて笑顔が出てくる。
「よかったな楓。」
薬が妹に接しているような言葉でいう。
「うん。」
陰たちから見ると可笑しくてたまらない。
同い年ではないか と言いたくなるものだ。
「ていうか、かざかぜ なんだね。」
「みたいだね。なんか面白いね。」
蝶と陽が かざかぜ という名前を気にしていた。
普通は風風というより風々でフウフウと読んだりしそうだ。
「楓がやったんだったら僕も行かないとね。」
薬は さー と魔法陣の方へと向かった。
やる気満々のようにも見えるような見えないような薬はたまにそのようなことがある。
「我が力を此処に示し、汝を召喚す、
汝、我が力となりてここに契約を」
薬が召喚したのは杖だった。
先は天使の翼のような形が左右あり、中心には白色で水晶六角柱の宝石があった。
「聖なる母の息吹により、
全ての傷を癒すものよ、我の力となり、
この世の傷を癒せ、 治癒のパナケイア」
薬は治癒のパナケイアを片手に戻ってきた。
「……なんか、薬にあわないような……」
陰は陽の後ろに隠れながら呟く。
その他は笑いをこらえるのに必死であった。


