陰陽 ~正反対の少女と少年~


「おっ!やるねー!」

陽は1本の剣、蝶は1本の槍を手にしていた。

陽は姿勢を低くして一気に蝶に襲いかかる。
剛樹仕込みの技で剣を振る。

蝶はそれを槍で受け止め槍をすべらせるように刃を陽の首もとへもっていこうとする。

「くっ!」

だが、苦虫を踏んだのは蝶だった。

刃を陽の首もとに到着する前、陽は喚具魔法から短剣を蝶めがけて投げていた。

その剣を避けようとするとバランスが崩れ、
槍で跳ね返そうとすると槍の先端にある刃は陽からとうざかっていく。

絶妙な所をつく陽に殺も感心していた。

蝶は剣を跳ね返すことにした。
予想通り槍の刃は陽からとうざかっていく。
その隙を狙って勝負を決める予定だったが

「フッフーンあまいよ!」

蝶は陽が投げた短剣を手に取り、陽に投げた。
それを陽は軽々と避けた…のはいいが。

「どうする?」
「……こうさん。」

避けたときには、すでに槍の刃は陽の首もとにあった。

「……強いね。」

陰は二人の戦いを見て呟いた。

「試合終了。陽のリタイアにより蝶の勝ち。」

淡々と殺は言った。

「蝶って強いな!」
「陽もね!うちもちょっと焦ったよ!」

陽と蝶はがっ!と握手した。

「次は負けないからな!」
「うん!待ってるよ!」

二人とも笑顔だった。

しかし、その日が来ることは無かった。