二人が眠っていたとき、
「ここは…」
陰は回りを見渡す。様子がおかしかった。
そこは家具もなければ窓も戸もない。
そもそも家すらない。
あるものというより見えるのは、星のように光っているものがそこらじゅうに散らばっているだけ。
夜の空のような、宇宙のような。
上下左右の感覚が一切ない不思議な空間
「………」
陰は夢だと思い、目を閉じた。
目を覚ますことに集中するため、
こうすると、いつも夢から覚めるのだ。
しかし、目を開けても変わらない。
『あなたが月の申し子。』
どこからか声がきこえた。とても優しい声だ。
「…誰?」
陰は回りを見るが誰もいない。
「陰?」
さっきまで聞いていた声で呼ばれる。
「陽…」
それは、陰が思った通り声の主は陽だった。
二人はさっきまでのことを話し合った。
陽も陰と同じような場所で『あなたが太陽の申し子』とどこからか優しい声が聞こえた。
陰と全く同じだった。