「ううーん……、タケくんごめんなさぁい……、うう……」


目をこすりながら、夢にうなされるように、ベッドの上でゴロゴロ動き回る柿崎さん。


『おはよう。いつまで寝てんの?早く起きて、俺に会いに来いよ。…………おい、ののか、なんだよこのセリフ!』


3回目……。


「タケくん怒んないで……、……はっ!」


突然目をカッと開き、柿崎さんは飛び起きた。


「お、起きれたー!ひとりで起きれた!あっ、紗帆ちゃんおはよう!」

「おはよう。あの……、その声は……」

「彼氏!タケくんにねぇ、のの脚本のセリフ吹き込んでもらったんだぁ。タケくんの声で起きれるなんて幸せー。いい夢見れたっ」


うなされていたような……。


「紗帆ちゃんにばっかり頼ってたけど、これからは紗帆ちゃんが寝坊しそうになっても、ののが先に起こせるね」


寝起きのふにゃっとした無防備な笑顔が可愛い。

ふわふわ綿菓子みたいな女の子。
私にすら、分け隔てなく接してくれる。

私が男子だったら、こんな子を彼女に選びたい。

男子……。

ポンッと、脳裏にはひとりの男の子。