「真夜中くんの同室の人は、柿崎さんの彼だったんだね……」

「まぁね」

「……だから、聞き覚えのある声だったんだ……」


幾度となく聞いた、柿崎さんの目覚ましアラームを思い出す。


「声って?」

「あ……」


ポロッと口から出してしまったことを後悔。

うかつだった。
きっと真夜中くんは、こんなことは聞きたくないはずなのに。

だけど上手い誤魔化しも思いつかない。


「あの……、柿崎さんの目覚まし、佐伯くんの声が録音されてて、毎日……聞いてて……」


真夜中くんの姿を視界に入れないようにする。

どんな表情をしているのか、見るのが怖くて……。


「はは、やりそう。あいつらなら。リア充丸出しか」

「っ……」


笑っているのに、聞いている私は何だか悲しい。

どうして……。