ため息をひとつついて、本をめくる。

意識するのはやめよう。

わざわざ懐中電灯まで持ってきてくれたんだから、集中しよう。


「今日は何の本?」

「あ……、学園系なの。女の子が主役の、恋愛もの――」


そこまで言いかけて、恋愛ものを進んで読んでいることが急に恥ずかしく思えて、ハッとした。

しかも、男子の隣で。

似合わないって思われそう。


「あ、でも、いつもは」

「へー、めずらしい。無言ちゃん、いつもヒューマンドラマ的なのとか、ホームドラマ的なのばっか読んでんのに」

「……」


私、そんなの言ったことない……。