「…うん、なかなか上出来だ!
お前、ほんとセンスあるなぁ!」

俺の試作料理を味見する店長。


「わっ、なになにっ?新メニューですか!?」


「いやいやっ、ただの料理指導だよ。
こいつが彼女へのホワイトデーに、コース料理をプレゼントするらしくてな」


「え、いーなっ、彼女さん羨ましいっ!
なんか、愛されてるなぁ」


「だよなぁ!
こうやって連日、美味しいものを食べさせようと頑張ってるんだからなぁ」


割り込んで来たバイトの染谷さんと、俺の話で盛り上がるのはやめて欲しいけど。


「いえ、いつも休憩時間を割いてまで教えて下さって、ありがとうございます」


家庭料理は得意でも、プロの本格的な料理はまだまだ駆け出しだから…

おせちの時もそうだけど、いつも快く教えてくれる店長には感謝してる。






そして、ホワイトデー当日。


その日、トイレにブレスレットを忘れたお客様から連絡があって…

俺が休憩時間を割いて、届ける事になった。