「お待たせ」 その声に顔を上げた。 どの位の時間待っていただろう、その間、彼は現れなかった。 いや、もしかしたら既に帰ってしまっていたのかもしれない。 ・・・・・・私が、気付いていなかっただけで。 「帰ろっか」 そう微笑んだ亜樹を見て、静かに立ち上がる。 ストーブは消えていた。 でも、それだけじゃない。とにかく、寒かった。 水滴で曇る窓ガラスを、指でなぞりながら歩く亜樹。