私が昨年颯に貰った物の代わりに、亜樹が巻いてくれた黒と赤のマフラーに涙が吸い込まれる。
「いつでも、俺は千冬が好きだよ」
我慢出来ずに、亜樹の腕の中に飛び込む。
牡丹雪が世界を白く染めていく。
私達吐息が、その雪を溶かしながら空に溶けていく。
ずっと一緒に居ると、颯は言った。
でも・・・・・・その言葉は、嘘だった。私の為に向けられたものじゃ、もう無い。
「・・・・・・亜樹」
「ん?」
「メリークリスマス」
グズグズと泣きながら、私にはこの言葉を呟くの精一杯だった。
でも、そんな私を、いつまでも彼は抱き締めてくれていた。
『スノー・オブ・ライ』end.



