「・・・・・・千冬」 「隣に居たのは私だったのに。颯の中には、私が居たはずなのに」 何で? 喉が引っ付いたように、声が出なくなる。 彼の腕の中には、私が居たはずなのに、どうして他の子がそこに居るの? どうして――――どうして。 「千冬」 「亜樹、どうして?」 そんな事、亜樹に聞いても分かりっこないのに。 『あいつには、もう新しく好きな人、彼女がいた』 ただ、それだけだったのに。