アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「なんで、その余計な一言を付け加えるのよ」

「だって、お前も別に俺の好みじゃなくてもいいだろうが」

 まあ、確かに。

「お前なんか、『なんかあの人、美人だよね〜』って言う程度の美人だろ」

 ……お前の私に対する評価には、何処か悪意が感じられる、と思った。

 そんな那智の表情を読んだように、亮太は素っ気なく、
「好みの問題だ」
と言う。

「ともかく、専務との関係はどうにかしろ」

 どうにかしろって言われてもな〜、と頬杖をついて、小さいが小綺麗にしてある庭を眺める。

 ベンチのような形の木製のブランコがあった。

 ちょっと乗ってみたい……。

 それを眺めていて、
「あ」
と声を上げると、亮太は、なんだ? という顔をする。

「もしかして、梨花さんのため?」

「は?」

「梨花さんが泣かないように、私を専務から遠ざけようとしてるの?」

 莫迦、と亮太は少し赤くなって言う。