アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「あの、それ、専務のせいで別れて恨みに思ってるとか?」

「なに言ってんだ。
 梨花と専務が付き合いだしたのなんて、最近だろ。

 俺は学生時代には別れてる。

 梨花のことだから、その間に、他の男も居たかもな。

 あいつ、気が多いから」
と言われ、確かに、と社内でキスしていた梨花を思い出す。

「だから、梨花がまだ自分に気があるうちに、さっさと結婚しようと思ってるんだろ、専務は。
 でも、お前と二股かけてるようじゃ、いずれ、梨花か誰かにバレて、破談になるだろうがな」

「いや、ほんとに私と専務はそういう関係じゃないんだけど」

「でも、昨夜は専務と一緒だったんだろ」
と言われたので、

「毎晩一緒だよ」
と白状すると、さすがの亮太も呆れたようだった。

「でも、なんにもないの」
「……余計複雑そうだな」

 いっそ、包み隠さず話した方が変に誤魔化すより、真実味が伝わりやすいかと思ったのだ。

 本当だとわかってはくれたようだが、亮太は、理解できない、という顔をする。

「俺の好みじゃないが、お前は一応、いい女の部類に入るのに。
 毎晩一緒に居て、なにもなしか」