アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜





「早川ー。
 今日、俺、昼早くに抜けるんだけど」

 亮太は隣の席の後輩にキーボードを叩きながら言った。

「了解ですー」

 うまく誤魔化してくれるようだった。
 こういうときはお互い様だからだ。

 早川は高速でテンキーを打ちながら言う。

「誰と出かけるんですかー?」

「那智」

 えっ、と早川の手が止まる。

「マジですかっ。
 ちょっと協力するのやめようかな」

「なに、お前、那智に気があったの?」

「いや、気があるっていうか。
 いいじゃないですか、和泉さん」

「あー、見た目は、おっ、と思うよな。
 でも、性格がなんというか。

 ぼんやり?
 のっそり?

 もったり?」
とかいろいろ言っていると、早川は笑い出す。

「そこがいいんじゃないですか。
 一緒に居ると、和みそうで」