アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「面白いし、格好いいし、一見爽やかだし」

 うん。
 一見だけどね……。

「確か、大学のときの彼女と別れたまま、次が居ないって言ってたよ」

「そんなに気に入ってるのなら、桃子が付き合えばいいじゃない。

 今日、さりげなく訊いてみてあげようか」
と言うと、えっ、と立ち上がる。

「ええーっ。
 どうしようかなっ。

 ちょっと嬉しいような。

 でも、この間のコンパの人がまた会おうって言ってくれてるから、その話がどうなるのか決まってからでいいよ」

「そ、そうなんだ」

 そこで、ふと気になり、訊いてみる。

「桃子、そのコンパの人、好きなの?」

 桃子は眉をひそめ、
「まだわかんないよ。
 一回しか会ってないのに。

 でも、嫌いじゃないよ。

 やっぱ、誰か彼氏が居た方が楽しいしさー。

 一緒に遊んだりしてるうちに、ちょっといいなーが、いいなーになったりするし」
と言ってくる。

「桃子は恋愛に積極的だよね」
と感心したように呟くと、

「あんたは消極的過ぎだよ。
 だから、みんな、誰か相手が居るんだと思ってるよ」
と言う。