アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜





「嘘っ。
 那智、亮太と付き合ってるの?」

 誰も居ない給湯室で、桃子に、亮太と遠くにランチに行く話をすると、案の定、彼女はそう言ってきた。

「違うわ。
 ちょっと世話になったから、そのお礼で」

 桃子にも明日にでも奢るね、と言うと、桃子はにんまり笑って言う。

「なになに?
 もしかして、今朝、コンビニに行ったっていうのも嘘だったりして」

「え」

「本当は昨日、亮太のところに泊まって遅くなったとか?」

「いや、その想定だと、亮太が先に来てるのおかしいし」

 桃子……。
 鋭いんだかなんだかわからない奴だ。

 なんとなく内緒話っぽくなったせいか、二人ともしゃがんでしゃべっていた。

「ともかく、亮太は関係ないから」
と言いながら、那智は立ち上がる。

 自分との仲を疑わせた方がいいと亮太は思っているようだが。

 そこまで好意に甘えるのもな、と思い、否定しておいた。

「でもさー、亮太いいよ。
 買いだよ、那智」

 まだ話したりなのいか、しゃがんだまま、桃子は言う。