アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

 助かるような、ちょっと困るような。

 それにしても、なんでまたそこまでしてくれるんだろ、と思っていると、まだ亮太の消えたドアを見ながら、遥人が呟く。

「いや、単にお前に気があるのかもしれないが」

「いや〜、そういうんじゃないと思いますよ」

 さっき、話がある、と言ったときの口調はそんな浮ついたものではなかった。

「っていうか、専務と、ずっと此処に一緒に居る方が問題ですよね。
 それじゃ」
と行こうとしたが、

「別に俺が此処でたまたま一緒になったお前ごときと話していても、なんの噂にもならないと思うが」
と言ってくる。

「本当に微妙に失礼な人ですよね〜」
と睨んでやった。

 まあ、王子様とカピバラでは噂にはならないか、と自分でも思わないでもなかったが。