アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

『桃子がお前が居るように細工しといてくれるみたいだから、早く来い。

 専務は別に遅れても問題ないだろ。

 一緒には来るなよ』

「亮太」

『感謝の言葉は後でいいから。
 昼飯でも奢れ』

 じゃ、と電話は切れてしまう。

 ほっとして、遥人を振り向いた。

「私の方は、亮太が誤魔化してくれてるみたいです。
 専務、急いでください」

 これで同時に遅刻したことにはならないはずだ。

 だが、遥人はなにやら不機嫌だった。

 しかし、構っていられないので、
「さあ、専務。
 急いでください」
と追い立ててしまう。