アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「あそこ、お母さんの部屋だったんですよ。
 ……まあ、あんな人でも母親ですからね」

 そんな那智を見ていた遥人は言った。

「膝枕してやろうか?」
「え?」

「たまには俺が膝枕してやろうか」

「え、なんでですかっ」
と那智は、何故か赤くなって手を振りながら、後退していく。

 ドアノブで打ったらしく、いててて……と腰を押さえていた。

 相変わらず、間が抜けている、と思いながら、遥人は少し考え、
「なんで、か。
 そうだな、そのパジャマが可愛いから?」
と呟いた。

 考えてみれば、那智のパジャマ姿を見るのは初めてだ。

 いつもなんとなく、うちで寝ているから。

「なっ、なに真顔で言ってるんですか、もう〜っ。
 いいですっ、いいですっ」
と叫びながら、那智は部屋に戻っていってしまう。

 ドアの向こうから、
「ほんとにいいですっ。
 専務がやさしいと、なんとなく不気味だしっ」
と叫んできた。