アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「……友達ですかね?」

 遥人の詰問するような口調に、この人、もしかして、結構嫉妬深くないだろうか、と思っていた。

 この部屋に誰かが来ると言っただけで、深読みしすぎだ。

 さっき、亮太と居たせいだろうか。

 あのときも、早く逃げればいいのに、こっちを見たまま動かなかったし。

 カピバラごときが、他の誰かに飼われていたとしても、いい気がするのだが。

 そう思っていると、遥人が訊いてきた。

「しかし、その理屈で行くと、俺の部屋は落ち着かない、ということにならないか?」

 確かに、遥人の部屋は、この人、此処で生活してるのか? と思うくらい、物がなくて、片付いている。

「いやー、それが不思議に専務の部屋は落ち着くんですよね」

 なんででしょうね〜? と小首を傾げながら、お湯が沸くのを見ていると、側に来た遥人が那智の手許にある瓶を見て言った。

「インスタントか」

「はい。
 びっくりするくらい美味しいインスタントですよ。

 水もいいので」

「……開き直るなあ、このカピバラは」

「ほんとですってば、手抜きじゃないです〜っ。
 水もわざわざ汲んできたやつなんですよっ」

 ほらほらーっとさっき、冷蔵庫にしまったばかりの水のボトルを出して見せる。