玄関を開けた那智は、リビングに行き、電気をつける。
後ろの遥人が、明るくなった室内を見渡し、
「中も広いな」
と言った。
「家族用のマンションですからね。
でも、うちは、両親が離婚する前から、わりと私、一人でしたけどね」
と言いながら、続いているダイニングキッチンの方も灯りをつける。
「兄弟は?」
「何処かに居るのかもしれませんけど、知らないです」
振り返ると、遥人は、それはどういう意味でだ、という顔で、こちらを窺っていた。
もちろん、あの二人が勝手に兄弟を増やしてそうだという意味だ。
「その辺座っててください。
珈琲かなにか淹れましょうか」
と言うと、すぐ側のソファに腰掛けた遥人は、
「なんだかわからないが、落ち着く部屋だな」
と呟く。
「はあ。
よく言われるんですけど。
恐らく、バシッとは片付いてないとか、掃除が甘いとか、そういうところが誰が来ても気負いなく寛げる理由じゃないかと……」
「誰が来るんだ?」
那智の言葉にかぶせるように遥人は言ってくる。



