アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜






 ホテルに行き、式場のあるフロアに入った遥人は違和感を感じた。

 誰も居ない。

 梨花たちがまだ到着していないにしても、ホテル側の人間さえ居ないのはおかしい。

 何処もかしこも、静まり返っていた。

 階段近くを通ると、下の階の笑い声がたまに聞こえてくる程度だ。

 一瞬、日にちを間違えたのかと思ったが、昨日、此処で打ち合わせたばかりだ。

 幾ら那智とぐっすり寝ていたといっても、日付が飛ぶほど寝ていたとは思えない。

 自分の控え室に入ると、今日着る新郎の服はかけてあったのが、やはり、誰も居なかった。

 なにかがおかしい。

 遥人は警戒しながら、部屋を見回した。