那智が目を開けると、目の前に遥人の顔があった。
ひいっ。
心臓に悪っ、と飛び起きる。
「お、おはようございますっ、専務っ!
……あれっ?」
会社のデスクで居眠りでもしていたのかと思ったが、違った。
そこで、ようやく昨日からの騒動を思い出す。
遥人が、
「帰ると言わなかったか?」
と言ってくるので、
「すみません。
寝ちゃいました~」
と頭を掻くと、彼はひとつ溜息をつき、言った。
「いや、別にいいが。
そのままじゃ、出勤できないだろう」
「そうですね。
一度帰らないと」
ああっ、スーツに皺がっ、と言っていると、遥人は部屋を出て行った。
あっという間に支度をしてくる。
「家まで乗せていってやる。
早くしろ」
「はっ、はいっ」
慌てて、那智はベッドから飛び降りた。



